uncle_pohの音楽覚書

音楽に関して考えたこと、感じたことを書きます

スズキ-チェロ教本感想:2-4巻

 先日のレッスンでスズキメソッドのチェロ教本8巻が一通り終わったので、区切りとして一言感想振り返り。

 なお、私の先生はとても進むのが速く、曲が未完成だとしてもどんどん先に進んでいく。長くて1ヶ月、通常2週間で次の曲に行くため、ほぼ譜読みレベルで終わっている。一通りすべて弾かせてから時間をかけて曲の完成度を増していく方針らしい。次から8巻を再度復習しつつ9巻(ハイドンのチェロ協奏曲)をゆっくり学習していく。

 2巻は2年前とかなので記憶が怪しいが、こんな感じだったというのを思い出しつつ書く。

 

スズキ1巻 - スキップ

 1冊が3000円以上するため、独断でスキップ(ウェルナーをちょっとだけやっていたのもある)。8巻終了を機にInternational版(Amazonで1200円くらい)を注文中。

 

スズキ2巻 - 独学

 初めてのポジション移動、第2ポジションが出てくる。全曲スズキのヴァイオリン教本と同じ曲(順番や巻数は違う)。

  •  ベイリー-ロングロングアゴ
     弓の使い方の練習曲、特にVariationのスラースタッカートで右手をツ、ツと動かす感じを体得するのが難しかった。
  •  モーツァルト-五月の歌
     1stポジションのみの最後の曲。スラーテヌートの学習か?音が抜けないでちゃんと弾くようにと指示されている感じ。
  •  バッハ-メヌエット第1番
     昔アンナ・マグダレーナの練習帳でピアノで弾いた記憶。原曲はト長調。初めての2ndポジション。上のミが取りづらかった。
  •  バッハ-メヌエット第3番
     ベツォールトの作品と言われている。ヴァイオリン版はバッハ(?)となっているが、チェロ版はまだらしい。シーレファ#ソーのファ#を1で取るところに音程と書かれている。
     繰り返し後のミードレミドのところが2ndポジションでしかも拡張で、音程が非常に取りづらかった。有名なだけに気合を入れて練習した気がする。
  •  ヘンデル-ユダスマカベウスから合唱
     先生曰く、スズキメソッド創設者の鈴木さんが、これを毎日練習させていたとか。確かに音程や弓の使い方をじっくりやるのに良さそうな曲ではある。今でもたまに丁寧に練習する。
     ソードーを同じ4の指で移弦する、4の指のスライドタイミングが難しい。4段目のラソ#ラシラーシーも音程が。
  •  ウェーバー-狩人の合唱
     初めての16分音符。生意気にも4段目のラーシラソラシーで開放を使わずに出てきていない3rdを使う自分の指示。確かに16分音符で開放の移弦は今でもかなり難しそう。
     7、8段目のレドラッレドラッは馬の駆け足をイメージして。弓の返しが間に合わず変な感じになってたことを覚えている。
  •  バッハ-ミュゼット
     メヌエットと同じく、アンナ・マグダレーナの練習帳でピアノで弾いた。元はイギリス組曲BWV808から。ピアノでは弾きやすかったのにチェロだと…。
     4段目の2ndポジションの拡張は今でも音を外しそう。5段目の8分音符連続部分とかは訳が分からなくなった。弓順もややこしいし。最後のシファ#ソレレファ#ソレの移弦つきスラーは滑らかに弾くのが難しい。
  •  バッハ-マーチ
     あまり印象がない…。マーチ。「堂々と」と勝手に書いてある。4段目1小節目、ソーファ#ミラーソーでミからラを4で取るのが難しかった。
  •  パガニーニ-妖精の踊り
     3連アルペジオの右手が課題。7段目の急な転調が怖い。音程がどこか行く。最後から2段目の最後の小節のドレミ(A線の2ndポジションの拡張)はよく出てくるけど未だに取りづらい。
  •  滝廉太郎-荒城の月
     唯一の日本人作曲家。これには番号が振っておらず、トナリゼイション(トーン+ボーカリゼーション、鈴木先生の造語)となっている。1stポジションのみだが、拡張と、音の強弱、あとはフレージングの練習か。
  •  シューマン-二人の擲弾兵
     個人的にあまり好きになれない曲。家族は好きらしい。前半はテノール?っぽく弾くのが難しい。ト長調に転調してからのフランス国家はアゲアゲな感じで好き。
  •  ゴセック-ガボット
     スピッカートがかなり難しい。今でも綺麗にはできない。装飾音もいい感じに鳴らすのは難しい。後半の16分音符、ミソファ#ソラソファミレ、一弓で弾きたいところ。7段目の16分音符スラーは、ヴァイオリンだと一弓スラースタッカート(サルタンド?)だった気がするけど、チェロにはそこまで求められていない。機敏性では確実に劣るものなぁ。
  •  ヘンデル-ブーレ
     大好きな曲。ト長調からハ長調に移調されている。2ndポジションの総まとめ。相変わらず5段目3小節目、2ndポジション拡張の音程がひどい。最後のドレミドレミファレ…と上がっていくところが大好き。2巻の終わりにふさわしい。

 2巻はCDのテンポもそこまで鬼ではないので、たまに合わせて弾いていた気がする。でもゴセックのガボットの16分音符とか、この巻をやっていた時には弾けていなかっただろうな…今なら弾けるだろうか。

 しかしこの巻の曲は、繰り返し記号ではなくそのままもう一度楽譜が書いてあるのはなぜなんだろう。繰り返しの時は強弱記号が違うのかと思いきや全部同じだし…段数広くとって繰り返し記号の方が良いと思うが。

 

スズキ3巻 - 独学、先生

 この巻から小節数が明記されるようになっている。M.は小節数、M.27は27小節目。
 一度独学で全部弾いてみたが、後で4巻から始めたいと持っていったら3巻からにしなさいと言われて、ユーモレスクからは先生にも見てもらった。
 学習の要点として「第2ポジションを含め第3、第4ポジションを正確なポジション移動と正確な音程で弾けるようにする」「フレーズの表現の指導を行うことを目指し、フレーズの終わりに注意を払うようにする」との記載がある。

  •  シューベルト-子守唄
     ハーモニクスの練習。M.13からの下の指(4ポジ)が難しい。この頃はまだ慣れずに変な音になっていた。前のページのハーモニクスは最後におまけのような感じでついているだけだが…。
  •  滝廉太郎-荒城の月
     2巻で出てきたものを3ポジで弾く練習。正直開放弦を使わないこちらの方がだいぶ弾きやすい。
  •  リュリ-ガボット
     2/2の舞曲感を出すのが難しい。M.10のドの開放や、M.11の16分音符で移弦付き開放が弾きづらい。中間部(M.21-34)がかっこいいが、M.23の増2度(ド#ーシ♭)がいやらしい。
  •  ボッケリーニ-メヌエット
     ヴァイオリン版であった装飾音符がすべてカットされている。正直この時点では確かに難しい。M.5のソ#の音程が取りにくい。同じことがM.18のド#とか。開放の次に拡張の4の指が当てにくい。トリオは楽しい。音階。ハーモニクス
  •  ウェブスター-スケルツォ
     初めてチェロオリジナルの曲か?ヴァイオリンでこれにあたるのは4巻に出てくるボームの無窮動だと思う。4ポジと、同音デタシェの練習。16分音符の連続に右手が挫けそうになる。どこか変な力が入ってしまう…。8分音符単位でしか音が動かないので左手はそこまででもない。しかもスケルツォ部分は4ポジしか出てこないので予想以上に弾きやすい。
     M.33からの中間部は、美しいメロディだが単純ゆえに音程が目立つ。M.48で勝手にritをかけていた。最後のハーモニクスも面白い。
  •  ベートーヴェン-ト長調メヌエット
     聴くのはいいけど弾くのはあまり好きになれない曲。ヴァイオリンでも散々苦労した、半音と頻繁なポジション移動。更にトリオでの不均等なスラースタッカート。どうしてもダウンが大きくなり、軽やかなメヌエットの感じが全く出ずに苦労した。
     M.9では初めての5ポジ。その後に4ポジで16分音符で4ポジから1ポジへの移動。隣のページに練習方法が書いてあるが、「そのうち速く弾けるように練習する」って結局どのように練習すれば良いかが独学だとイマイチ分からずだった。とにかく繰り返し練習した。
  •  バッハ-ハ短調ガボット
     ピアノで弾いたことがあった。ハ短調の練習。♭3つで主音がド、なのでチェロには相性が良さそう…と思いきや、同主調変ホ長調含めやっぱり弾きにくい。フォーレのエレジーでも思ったけど。M.10-11やM.18-19の8分音符2つがスラーでつながっている音形は好き。
  •  バッハ-メヌエット第3番
     M.49からの中間部がハ短調ということで再度登場。前のガボットでは上のレより高い音はなかったが、中間部ではいきなりミ♭から開始。M.75が難しい。落ち着いて1スラーずつ弾いていくしかない。

  •  ドヴォルザーク-ユーモレスク
     冒頭Leggieroの指示もあるため、少し軽やかな感じで弾いたところ、チェロのユーモレスクは少し感じを変えてもう少し落ち着いて…と言われた。弓使いが難しい。冒頭は弓先で、弓は弦から離さずに、でも音は止めずに。隣のページに練習方法が書いてあった。
     M.23は音が飛んでいるが、ポジション移動は不要。M.33-40、ついに最後で7ポジが出てくる。この頃は気合で飛んでいたが、これも隣に練習方法が書いてある。
  •  マリー-金婚式
     聞き覚えのあるテンポで弾いたら、先生曰く速すぎる…と。金婚式の当人達は少なくとも70歳近く(結婚50周年)なのだから、速すぎずに落ち着いて。なるほど確かに。
     M.4-5のファーラッのフラジオが楽しい。クレッシェンドも忘れずに。
     M.17の後半2音はテヌート、ちゃんと音を切って。
     M.19はスラーだけどちゃんとテヌート感を出して少し切って。M.23も同じ。
     M.49の後半2音はスタッカートではなくテヌートなので注意。
     M.50、62、74のアルペジオが非常に難しい。弓順もアップから、ポジション移動あり、次の音も多少離れている、でテンポ通り弾けなかった。
     M.66-68の8分音符連続は、とにかく慌てずに。弓順がこんがらがる。

  •  バッハ-アレグロモデラー
     大好きな曲。3巻のラスボス。確実にテンポでは弾けない。こういう曲が素敵だと思っても、探すのが面倒なので出典を明記してほしい。ガンバソナタ1番ト長調BWV1027。
     CD聴いても、曲の入りからしてどこから入るのか分かりづらい。
     M.29-33、最難関。不均等スラーなのでダウンが大きくなる、開放弦ありの移弦付きスラー、下の指番号を選べば半小節ごとにポジション移動あり(しかも拡張)。
     M.50-52は弓順が混乱しがち。そしてM.56-最後まで、8分音符連続の速いポジション移動、最後に5ポジで終わる。3巻のラストを華々しく飾るのにふさわしい。

 

スズキ4巻 - 独学+先生

 ようやくチェロオリジナルの曲ばかりになる。

  •  ブレヴァール-ソナタop.40-1 1楽章
     これこれ、こういうのが弾きたかったんだよ!とめちゃくちゃはまった曲。ソナタ好きの私にたまらない。3巻までは舞曲や小曲だったので、この曲の満足度はかなり高い。5ポジまでしか出てこず、そこまで難しい技術はない。装飾音符が入れづらかったかも。
     M.26-28の3連パッセージもポジション移動はなし。
     M.29-30の1弦跨いでの跳躍は難しかったかも。手首を使って軽く、と書いてある。P.12に練習方法の記載あり。
     M.56-57のダウンアップで少し不均等なスラー、装飾音符、スラースタッカート。
     M.89-92は拍頭がアップでちょっと戸惑った気がする。慣れてくると弾きやすさに気づく。
     M.102のトリルは拡張124でやりづらかった。

  •  ブレヴァール-ソナタop.40-1 2楽章
     これも弾きやすい…と思いきやこちらは難しかった。まず6/8感が出ない。冒頭からいきなり装飾音符が入れづらい。軽やかに弾けない。
     M.16からやや弾きやすくなったかと思いきや、M.27-28, 33-34の16分音符。軽く弾きたいけどどうしても速く動かせずにドタバタした音になる。そもそも弾けない。
     M.43、50の半音も音が取りづらい。
     M.66-77のイ短調、地味にポジションが飛ぶので音が取りづらかった記憶。
     続くM.78-のヘ長調は再度16分音符。どんなにさらってもできるようにならなかった。
     M.87-89、M.95-97。単純に弾くだけでも難しいのにスラーがつくことで更に難易度が上がる。

  •  マルチェロ-ソナタop.1-2 1楽章
     地味に音程が取りづらくて嫌だった。この頃から開放弦の音が気になり、なるべく隣の弦で押さえて弾くようにするも、音程が。。YouTubeで検索するとコントラバスでの演奏動画もよく出てくる。
     M.11のシソラファ#とか、M.13のソミファ#レ#での指を縮めるポジション移動が難しい。最後はM.14のミで終わればよいのに、後の2小節って蛇足なのでは…なんて思って弾いている。

  •  マルチェロ-ソナタop.1-2 2楽章
     因縁の曲。この曲で私は独学を断念した。インテンポでいい感じに弾きたいのだが、どうしても汚いギコギコした音やかすれた音が出てしまい、しばらく練習しても改善が見られなかったため、独学を諦め先生につくことにしたのだ。
     まずM.4のミレドシ、M.5、6のソファミレ。16分音符でポジション移動、こんなに速くできない。
     M.6のミレドミレドシレ…となる部分は速いしポジション移動あるしで右手が追いつかない。
     M.7-8のラレラレのスラーのリズムが変になる。
     そして鬼のM.18-最後まで。16分音符連続、ポジション移動、移弦付きスラーと本当に訳が分からなくなった。いくら練習しても、音がかすれていい音にならない(もちろん今までもいい音だったわけではないが、自分で満足できるくらいではあった)。完璧に暗譜して、弓も全部頭に入っているけど、頭と体が追いつかない。4の指が隣の弦に当たっていたり、左手がちゃんと押さえられていなかったり、右手の移弦の準備が遅かったり…。
     この時期にTwitterを始めた気がする。確か2020年8月くらい?自分で動画を撮り、YouTubeで教えてくれる先生の動画も参考にしながら頑張ったものの、結局インテンポで弾けず、後から戻ってくることを心に誓いながら次の曲へ。
     練習当時の演奏はコレ:

     

  •  バッハ-無伴奏チェロ組曲第一番よりメヌエット
     これはマルチェロと比べると、テクニックというよりは表現力の練習。強弱記号が一切ないので自分で考える。(和音的な)緊張/弛緩、速く/遅くを正確に読み取って「音楽」を作れと指導された。
     冒頭のラーシドをアップでいい感じに弾くのが難しい。音の個数的にはダウンと同じだけど速さが違う。
     音程で難しいのは第2メヌエットト短調で拡張がよく出てくるので音程が狂いやすい。もっと弓を使うようにとも言われた。

  •  チャイコフスキー-シャンソントリステop.40-2
     ピアノのための中級程度の12の小品より。初の全部ハ音記号。今ではそれなりに読めるようになったが、当時は苦労して読んだなぁ…。
     曲想とは裏腹にAllegro non troppoとかなり速いテンポ指定。そしてこれは曲頭に番号がついておらず、「トナリゼイション」となっている。
     M.21からの変ロ長調部分が音程取りづらい。
     M.29の一番盛り上がるところ、メロディが6小節単位になっている。M.61からの実音とハーモニクスの使い分けは楽しい。最後のpppなんて久しぶりに見た気がするが、チャイコフスキーなら納得。

 

 思ったより長くなってしまったのでここで一旦区切る。しかし読みづらい。。