uncle_pohの音楽覚書

音楽に関して考えたこと、感じたことを書きます

「#推しの平均律」まとめと感想

 今年始めから参加していた「#推しの平均律」「#推しの平均律第2弾」という企画が、2021/8/8で終わったので、まとめと感想をつらつらと。

 このみぴあのさん(https://twitter.com/kkawaipianist?s=20)が企画した、ドレミファソラシの各音から始まる長調短調(#♭含む)の曲の演奏動画を、毎週日曜日に24週にわたって投稿していくという企画。ハ長調ハ短調嬰ハ長調(変ニ長調)→嬰ハ短調…というように。

 

 

 まとめとして、Twitterに投稿した動画をYouTubeにもアップした。Twitterタイム(140秒)に入り切らなかった動画もフルであげたので、気になる曲があったら見て頂きたい。(YouTube画面右上再生リスト)

 それから簡単な曲一覧と一言メモも。
 「初挑戦」は、過去に弾いていない曲が○。
 「推し度」は、全部推し!と言いたいところだが調性によっては推しじゃなくても自分ルールで投稿したものもある。特に推しな曲が◎。
 「満足度」は、自分の妥協点に達しているかいないか。アマチュア楽器奏者なんて満足のいく演奏などできるわけはない(できたら終わりだ)が、まぁ自分で聴いてもそれなりじゃない?というものには◎。ハードルが低いのはご愛嬌。

 

#推しの平均律

www.youtube.com

f:id:uncle_poh:20210807235054j:plain

推しの平均律

 

#推しの平均律第2弾

www.youtube.com

 

f:id:uncle_poh:20210807235124j:plain

推しの平均律第2弾

 

 この企画が好きだった点はいくつかある。

・毎週このみさん、他の方の演奏動画が見られる

 企画者のこのみさんの動画は、演奏はもちろんのこと毎回動画に入っている文字(つぶやき?)が面白い。特に印象に残っているのはベートーヴェンソナタ18番2楽章のオケ話(私が投稿するきっかけとなった)、ヴィヴァルディ「冬」のゲームボタン連打など。たまに音楽の先生ならではの話なども聞けて楽しかった。

 Twitterはもともと文字を投稿するSNSなので、演奏動画はそんなに流れてこない。
 しかしこの企画であればこのみさんの動画に返信する形(一部リツイート)で動画が投稿されるので、そのスレッドを見ていればその調の色々な演奏が見られる。調性に性格がある…というのは研究結果で否定されているらしいが、それでも各作曲家が特定の調性にどういった思いで作曲したのかが、なんとなく分かるような気がして面白かった。

 更に動画を投稿すれば見てもらえて、コメントももらえたりする。自分の曲にどのような印象を持たれたかを知れるのはなかなか貴重な経験だ。(ネットに投稿するまでは、ピアノの先生か、家族か、発表会にきた友達くらい)

 また、SNSという性質上、他のピアノ弾きの方と知り合うこともできる。特に毎週投稿する人は固定されてくるので、この方の選曲は毎回いいなとか、弾き方がいいなとか思ったらコメントしていた。

 

・知らない曲に出会える

 自分では絶対に聴かないような曲にも出会うことができる。Twitterは受動的に情報が入ってくるので、ズボラな私には最適。しかもピアノ弾きの方の推し曲なので、メジャーではない曲もたくさん。
 ちなみに推しの平均律で初めて知って、特に気に入った曲は以下の通り。

 - シマノフスキ プレリュード op.1-8 (変ホ短調)

 - パルムグレン(作曲家)

 - メトネル おとぎ話(ト長調)

 - ゴドフスキー ジャワ組曲よりボイデンゾルグの植物園

 - スクリャービン 練習曲集、前奏曲

 - ラフマニノフ 前奏曲
 

・調性へのこだわり

 クラッシックは、特に打楽器、弦楽器や管楽器が絡んでくると、開放弦や出しやすい音の兼ね合いから、半音でもキーをずらすと大きな変更が必要になる。ティンパニなんか前もって出せる音が2つか3つで決まっている。管楽器だって移調が自由になったのはロマン派以降。なのでクラッシック音楽では、特に昔であればあるほど調性は相当重要なものだったはずだ。

 その調性に沿って毎週1曲選ぶという、ある意味面倒くさいこだわりが好きだった。

 

・1週間に1曲仕上げるモチベーション

 前提としてこの企画は、いつでも好きな時に好きな曲を投稿して良いことになっている。このみさんは1週間に一度日曜の朝に投稿するが、そのスレッドに投稿するかしないか、いつ投稿するかは完全に参加者の自由というわけだ。

 そういうわけでかなりゆるいルールな企画だが、自分ルールを設けている人が結構いる。バッハだけを弾く、他の人とかぶらない、毎週1曲投稿する、すべて異なる作曲家の曲を弾く、など…
 私も自分ルールを設けて参加し続けた。
  ・毎週日曜日に投稿する
  ・自分の中で曲はダブらせない
 本当は、これに加えて「Twitterタイム(140秒)で完結させる」「完奏する」もやりたかったが、ヴァイオリン・ソナタやトリオなどはとてもじゃないができなかった。

 一週間に一つ、人に聴かせられるような曲を仕上げる。人によると思うが、私にとっては結構難易度の高いことだった。(毎週参加は強制ではないので、完全に自分の意志)
 簡単な曲を選べば楽にできたと思うが、それでは参加する意味がない。それにこの企画は「推しの」平均律なので、自分がある程度気に入った曲を披露する必要がある。
 もともと私は譜読みはそれなりにできたので、それなりに形になるまでは早い。しかし質を上げるのが苦手だったので、そこを少しでも改善できたのが嬉しい。

 

 

 2021年の1月から31週(7週+24週)にわたって参加した「推しの平均律」は一旦終わりを迎え、次週からはまた違う企画「この音スタート名曲集」が始まる。推しの平均律でさえかなり息切れしていたので、今回は毎週参加とはならないと思うが、引き続き弾く・聴くいい機会となりそうだ。

 

 「推しの平均律」「推しの平均律第2弾」企画・運営されたこのみぴあのさん、本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

スズキ-チェロ教本感想:7巻

 前回の記事の続き。

スズキ7巻

 エックレスのソナタ、バッハの無伴奏3番からブーレ、そしてなんとポッパーのガヴォット、最後にパラディスのシシリエンヌ。協奏曲が多かった6巻に比べ、素敵な小品が多く感じる。

  •  エックレス-ソナタ 11番ト短調 :1楽章 Largo

     久々にスズキのヴァイオリンと同じ曲。ヴァイオリンは8巻に4楽章まで載っているがこちらは2楽章まで。4楽章はIMSLPでちらっと見たところ、親指ポジションを多用するPrestoで、このレベルでは難しすぎるため割愛されたと推測。

     作曲家については英語Wikiより:Henry Eccles - Wikipedia
     (概要)ヘンリー・エックレス(1670–1742) 英国の作曲家でヴァイオリニスト。1720年に12のヴァイオリン・ソナタを出版、しかし1,4,8,9番はジュゼッペ・ヴァレンティーニのソナタから借用(パクリ?)している。一番有名な11番の2楽章は、フランチェスコ・ボンポルティの作品10から第2楽章(クーラント)を抜粋したもの。

     衝撃。2楽章好きなのに他人からの借用かい!1,3,4楽章は自身の作品らしい。このWikiの記述には参考文献がありそうだが、それを自分でたどる気にはなれない…ので、他人からの盗用って説もあるんだな、くらいに覚えておこう。昔ほど盗用や借用がある印象。バッハは自分の他の曲から流用していたな、それは全く問題ないと思うんだけど。良くも悪くもおおらかな時代だった…のかなぁ。

     曲は、バロック時代のソナタらしく(緩ー急ー緩ー急)の形で、1楽章はLargo。いきなり6ポジションから始まる。マルチェロ、ヴィヴァルディのソナタでも書いたが、こういうゆっくりした曲は音程が目立つ。この曲に取り組んだ時はまだ7,8ポジションにそこまで慣れていなかったので、音程に気をつけるだけで終わってしまったが、本来であればもっと情感を引き出せる曲のはず。
     M.2-3でレ→ラに飛ぶのを確実に。次の3、4小節目のソ→ド#→ファも。あとは同音で指換えが多いので、そこまで変な音にならないはず…と思うが、この同音指換えも結構難しいので注意。少しでも高くなったりすると、聴いている方は一発で分かる。
     M.6(M.15も)のトリルはゆっくりな曲はゆっくりと。これは先生によっても教え方違いそう。
     M.8から後半。低ポジションの拡張(シ♭)が厳しいけど頑張る。
     M.12から最後の盛り上がり。M.14のレまで、M.12のシ♭、M.13のドをちゃんと当てて、しっかりと盛り上げる。クレッシェンド書いていないけど、M.8からM.14までずっとmfのままはありえないので、自分なりに抑揚をつけて。
     M.15(2括弧)のritはやりすぎないように。

    当時の演奏:

     

  •  エックレス-ソナタ 11番ト短調 :2楽章 Allegro con spirito

     短調で速い、私が好きな感じの曲。とにかく全体的に跳躍が多い印象。でも弾けたらかっこいい。
     1楽章も2楽章も繰り返しがあり、繰り返しで何かしら変えないとつまらない、と教えられた。同じ音でも弾く弦を変えるとか、強弱とか、ビブラートのかけ具合を変えるとか。

     M.1、いきなりfの重音から始まる。M.2の最後、レからオクターブ上のラへの跳躍だが、レが開放なのでちゃんと準備して2で当てる。M.3最後のソ→ドの跳躍の方が難しいかも。
     M.5からM.1をピアノで繰り返し。
     M.9から難所、前半の終わりのM.19までほぼ8分と16分音符で、跳躍も多い。M.16ではD線で上のレを取る、この段階では珍しい指。
     M.20でレシ♭ファの重音、丁度ネックのところなのでシ♭ファの重音が取りにくい。
     M.26は重音の後シ♭に飛ぶのが難しい。
     M.30の重音はoptional notesと書いてあり、自分は重音にしていたけど、mpなので無理に重音にしなくても良い気はする。
     M.40-41でト短調の下降音階。M.40はアップからの下降なのでやりにくい。

    当時の演奏:

     

  • バッハ-無伴奏チェロ組曲3番ハ長調BWV1009:ブーレ Bourrees

     2回目のバッハ無伴奏。スズキのヴァイオリンではト長調に移調されて3巻で出てくる。

    ブレーの意味はwikiより:ブレー - Wikipedia

    17世紀舞曲。速いテンポの2拍子の舞曲で、ガヴォットに似ている。

     無伴奏組曲はすべて舞曲でてきており、ブーレも舞曲の一つ。ブーレ1とブーレ2があり、ブーレ2を弾いた後にダ・カーポでブーレ1に戻って終わる。

     久しぶりのバッハ、ハ長調で弾きやすそうと思ったが、ブーレの定義通りテンポをあげようとするとなかなかに難しい。

     M.1-8はテーマ。最初のアウフタクトと2拍子を感じて始める。ずっと1ポジションで弾けるのでここは問題ない。M.5でダウンとアップが3:1になるので弓の使用量に注意。

     M.9から平行調イ短調に。M.13-14のスラー付き移弦が速くなると準備が間に合わなくなりそうだが、慌てないで。M.15の1拍目ド→ミはドで少し時間を取って大丈夫。M.16でイ短調の終止。

     M.17のアウフタクトから空気を変えて元のハ長調に戻る。とにかく移弦が多いので、滑らかにできるように練習。M.19のレ→ファミドも、M.15と同じようにレで少し時間を取る。

     M.21から最後の盛り上がり、ずっと8分音符が続く。3:1のスラーが多いので、弓の使用量に十分気を遣って変な音にならないように。

     M.25-26の上のミファと、1音ずつ下がっていくレ→ドシ→ラソ→ファミは別の声部を弾いている感覚で。特に下がっていく方を出すとかっこいい。


     M.29からブーレ2。同主調ハ短調だが、この♭3つが非常に弾きにくい。A線の開放が使えなくなる、A線とD線の拡張をよく使う、というのが主な理由だと思うが、間違いなくハ短調変ホ長調のスケールを練習した方が弾きやすくなると思う(私は当時やらずに音程が悪いままだった)。スラーはブーレ1と比較して弾きやすいので、ひたすら音程に気をつける。

     M.29-36まで前半。M.34-35は単純な変ホ長調の音階をD線で弾くだけだが、音程が上りも下りも非常に取りにくい。

     M.37から後半。ト短調でラの開放が使えるので少し楽。M.44からまたハ短調に戻る。

     M.49の2音ずつスラーはなにか訴えかけるように。2音では下がっているけど小節全体では上がっていく。

     ちなみにスズキ教本のスラーは編集者がチェロ学習者用に校訂したもので、原典版とはかなり異なる(簡単になっている)ため、最初から原典版で学習したい人、変な癖をつけたくない人はこのスズキは使わないほうがいいと思う(4巻の組曲1番メヌエットも同じ)。
     私は弾きたかったのでスズキ教本で弾いた。

    当時の演奏:

     こちらは音だけ(肝心の音質は悪い):

     

  • ポッパー-ガヴォット op.23-2

     ついにあのポッパー…チェロ奏者のサイトを見ていると必ず出てくるあのいやらしいエチュードop.73を書いたというあの…と思って譜面を見ると、確かにハーモニクスなどは出てくるもののそこまで難しくはない。もちろん技術的難易度はかなり高い気がするが、曲として聴かせるのであれば前のエックレスやバッハの方がずっと難しい気がする。そんなに好きではない。

     曲の情報は少なく、op.23-No.2となっているがop.23の他にどんな曲があるのかもわからない。本気で探せば多分どこかにはあるんだろうけど…。

     曲は3部形式、A-B-AでAはニ長調、Bは同主調ニ短調。冒頭のLivelyとの指示通り、生き生きとした舞曲(ガヴォットなので)。リュリやバッハのガヴォットよりももっとダンサブルな感じがする。


     冒頭からM.8までテーマ。スラースタッカートをはっきり出すのが課題。

     M.8から親指ポジション、嬰ヘ短調に移調。速くなると親指ポジションでトリルを入れるのが難しい。ソ#とミ#が地味に取りにくい。M.18-19の一弓スタッカートは手首でツツツツ…と音を出す練習。最初のダウンで弓先まで持ってくるのを忘れないように。M.22でファ#→ファ#のD線上で2オクターブ跳躍。グリッサンドは極力入れないように(入れたい派なので自戒のため)。

     M.35-36で長いスラー、最後の方でフラジオ+移弦があるので、とにかく弓を節約する。M.34の最後の2音で弓元に持ってくる。M.36でハーモニクス、コマ近くを弾かないと音がでない。M.39-40で35-36の繰り返し。

     M.47からテーマ、今度はffで。弓順も変わっているので注意。M.55から分岐、M.58でまたもや長いスラー。M.62で再度ハーモニクス。うまくあたると気持ちいい。更にM.64ではフラジオレット。弓使ってコマ近くで弾くのはハーモニクスと変わらない。実際に出る音は「ミラミラファ#、ミラミラレ、ラ、レ」

     M.68から一部の終わり(またはD.C.後の曲の終わり)。5度の重音、前半は開放のみ、後半はピアノでスラー。サルタートの指示がある。少しおどけた感じで弾く。ffとpの対比、テヌート・スタッカートとスラーの対比をはっきりと出して。最後はかっこよくpizz。

     M.73からニ短調、mossoは速く。ffで多少荒々しい感じ。M.75-76の重音も開放との重音なので気持ちよく鳴らせる。ffとpの対比を出して。

     M.81から親指ポジションでの重音。低いポジションでは楽に出せていた重音が、親指ポジションだと両方の弦で均等に音を出すことが難しくなる。特に全音符のラの後ソの音を出すことに集中。ソがちゃんと出れば弓の角度が決まるので後は問題ない。個人的にはこのM.81-88がこの曲で一番難しかった。

  • パラディス-シシリアーノ

     7巻最後。シシリアーノは舞曲の一種で6/8か12/8拍子、短調で付点のリズムが特徴。フォーレレスピーギのシシリアーノなど、個人的に好みな曲が多いが、この曲も良い。物憂げにたゆたう感じが共通点だろうか。

     作曲者はパラディスとされているが、ドゥシュキンというヴァイオリニストの偽作とも言われている。真偽は不明。クライスラーも同じようなことをやっていたと思うが、昔の作曲家の曲と言って出したほうが売れた時代があったんだなぁ…。1小節目のド♭であまり昔っぽくない感じはする。

     曲は変ホ長調で♭3つ。苦手な調性だ…。Andantinoでゆったりとした曲調ではあるものの、音程の取りにくさが難易度を上げている。

     構成は二部形式に、最後にテーマが少し繰り返されて終わる。1部の最後にハ短調で終止する以外は変ホ長調のまま。

     シシリアーノは舞曲なので、音程に気を取られて舞曲感を失っては困る。またゆったりした曲なので、装飾音やトリルは入れられるだけ入れるということはしないように(自戒)。


     一部(M.1-10)は最高での4ポジションで、そこまで難しいところもない。しかし音程は合っているはずなのに高かったり低く聴こえたりする。自分だけかもしれないが、とにかく音程。バッハのブーレ2でも書いたが、音階練習が必要だと思う。


     M.12から二部。M.14-15は繰り返しなのでD線で行きたいところだが、結構な高ポジションになるので私はA線のまま演奏した。

     M.16から順に下がるフレーズ。スラーの途中のシフト移動で音がなるべく途切れないようにするのが難しい。シフト移動後の音にアクセントがついている、と先生からの指摘を受けた。

     M.20の肝となるレ♭は当てないと次からの音も全部怪しくなる。(レ♭ドシ♮で全部半音)M.21-22のトリル終わりで上のレ♭に飛ぶのが最難箇所。そこまで時間取れないけど、4から8ポジに飛ぶのが辛い。M.22の最後5ポジに戻るのも音程が合いにくかった。

     M.26から再度テーマ繰り返し。M.29はできるならG線で演奏したほうが、雰囲気は出そうだけど…私はD線で安全策を取った。


     最初から最後まで音程が気になる曲。好きな曲なのでピアノと合わせた動画を作ったが、この時もどんなに練習しても音程が合う気がせず、かなり自信をなくした。今になって思えば練習方法が良くなかったんだなと分かる。いずれまた弾きたい曲の一つ。

    当時の演奏:

     

 7巻を見てきた。本当は7-8巻でまとめたかったが、前回より更に期間が空いてしまい8巻をまとめるには更に時間が必要となるため区切る。

スズキ-チェロ教本感想:5-6巻

 前回の記事の続き。

スズキ5巻

 ヴィヴァルディのソナタ全楽章、ダンス・ラスティックとバッハのアリオーソの小品のあと、ついにゴルターマンの協奏曲が出てくる。

  •  ヴィヴァルディ-ソナタ ホ短調 op.14-5:1楽章 Largo

     マルチェロと同じホ短調ソナタ。形式も同じため(緩ー急ー緩ー急)、混同しそうになる。しかしこちらは最初からハ音記号で音も高い。トリルも多い。遅い曲のトリルは遅く、との注意書き。M.10のシーラソドファは上の指遣い(ソを3)だと取りにくいので、普通にソを4で取って3ポジに飛んだ。

     M.12-13のラファ#レ#シー、ソミド#ラーと下がってくるところの音程が取りにくい。ハーモニクスのラからファ#(しかも拡張)が何回練習しても安定せず、一番の聴かせどころなのに残念だった。1回目と2回目で同じように弾かないようにとの注意書きも。今なら強弱、弾く弦などを変えて少しは変化を出せるかも。

  •  ヴィヴァルディ-ソナタ ホ短調 op.14-5:2楽章 Allegro

     これもマルチェロソナタと同じく苦労した楽章。苦労していない曲などないが、できないという印象が強烈だったのがM.29-32の16分音符の移弦つきスラー。ここは重音で練習して、動きが速いので右手は腕ではなく指(ないしは手首)で移弦する感覚で、と教えられた。例によって遅いテンポですぐに次の楽章に行ってしまったので、未だに弾けないと思う。

     M.3-6の8分音符の跳躍は、最初はどこでどの音を取るか分からなかったが、慣れてくると楽しくなった。ほぼ全部指番号が振ってある。特にC線の3ポジ(ファ#を1で取る)はこれまで出てなかったと思う。

     M.17は移弦とA線の開放が嫌で全部D線で取ろうとしていたが、音程が安定しないので結局1ポジで取った。

     M.23の下のソ#をC線の4で取るのが難しい。2ポジの拡張に行くだけだが、速い16分でのポジション移動なのでこれも安定しない。

     そして問題のM.29-32のあとは主題を繰り返して終わり。冒頭とまったく同じかと思いきや、M.3は3拍目からに対しM.34は1拍目から始まり、M.38でシドシーが1回多くなっている。少し帳尻合わせ感があるような。

  •  ヴィヴァルディ-ソナタ ホ短調 op.14-5:3楽章 Largo

     この楽章も音程が取りづらい。1楽章もだが、冒頭からハ音記号でやる気がそがれていた覚えがある。今は多少慣れたけど。

     M.4のD線でレを3で取る、普通に6ポジで取りにくい。しかも2、3でのトリル。M.5のソーソのオクターブ下降も音程のずれが分かりやすくて嫌。

     M.7ではC線で4ポジ(シラソ)が出てきて、押さえる力が弱いともごもごした音になりやすい。

     M.9のシを2で取った後のレ#ド#シも1ポジの拡張だけど地味に嫌だった。最後はパヴァロッティが歌っているイメージで堂々と終わるように…。先生は3大テノール、中でもパヴァロッティが好きでよく話に出てくる。

  • ヴィヴァルディ-ソナタ ホ短調 op.14-5:4楽章 Allegro

     この楽章も音程が取りづらい、とこれしか言っていないが、とにかくこのホ短調ソナタは2楽章以外音程が取りづらかった。4楽章はAllegroで2楽章同様速い。そして頻繁なポジション移動。さらに3/8拍子で弓順が混乱しやすい。あまりにも適当だったためか、3、4楽章についてはもう一回と言われている。

     M.10の音型は4回出てくるが、最初の音がレ#とソ#という、なんとも取りにくい音。そしてそれを1で取る必要があるのが嫌らしい。レ#ファ#ミレ#ド#シのド#でのポジション移動も16分音符の中で難しい。

     直後のM.12最後のド#シからM.13のファ#に飛ぶのができず、ド#シをD線で取るようにしてみるも、これもいまいちしっくりこない。

     M.23-25は拡張→普通→拡張で少し取りづらい。

     後半、M.32-35は半音が多く、1小節ごとにポジション移動なので8分音符なのに忙しい感じがする。M.39の2、3指でのトリルも地味に嫌。

     M.46、48の下降音型での16分音符ポジション移動は音程が合わない。しかも遅れる。特に48は移動先で4で取るのでちゃんと押さえないと音程が不安定になりがち。

     M.66-67、最後の最後が一番難しいという。Rallentandoがついているとは言え、ソシミシソミ ファ#シレ#シファ#レ#、移弦ありの拡張で16分音符。ポジション移動がないものの、これはかなりゆっくりじゃないと弾けない。特に67が難しかった。

     ソナタの感想を総じて見返すと、難しい、音程が取りづらいと文句しか言っていない。弾いているのは楽しかったが、難しさのほうが勝っていたんだなぁとしみじみ思う。ヴィヴァルディとマルチェロソナタはいつ弾いても学ぶことがありそう。今でも弾ける気はしないけど、練習当時よりは今のほうが余裕をもって弾ける自信はある。いつかまた弾こう。

  •  スクワイア-ダンス・ラスティック op.20-5

     ヴィヴァルディのソナタとは打って変わって弾きやすい!大好きな曲。そもそもスクワイアという作曲家を知らなかったのでまず調べるところから。

    ナクソスHPからの引用:

    www.rakuten.ne.jp

     1890年代後半から1920年代後半にかけて、英国で活躍したチェロ奏者ヘンリー・スクワイア(1871-1963)。(中略)  実は、彼自身も若い頃(18歳から33歳くらいまでの間)に、数多くのコンサート・ピースを作曲していて、これらは彼の持ち味であるポルタメント(2つの音の間を滑らかに繋げて、情感を込める奏法)が多用された、親しみやすく平易な作風のものばかり。(後略)
    -----ここまで引用----

     つまりこのダンス・ラスティックも彼自身が弾くために作曲されたコンサートピースといえそうだ。1963年まで生きてて録音も残しているということだから、結構最近の人なのね。でも作風は調性音楽だから親しみやすい…しかもイギリスだから、ラスティック(いなかの)と言いながらもどこか気品がある気がする。

     Allegroで速いけど、頻繁なポジション移動もないし、あってもやりやすい(ひとつ前の音を違う指で弾くなど)。そもそもヘ長調で明るくてノリがいいから、何回でも弾きたくなってしまう。スズキ教本はこういう曲の配置がうまいなぁと思う。ヴィヴァルディみたいな曲ばかりだと、実力はつくかもしれないが確実にやる気はそがれていたと思う。

     M.21からは重音だけど、フォルテで開放との重音なので思いっきり鳴らして大丈夫。

     M.31-34はポジション移動を含む音階。でもこれが1ポジ→4ポジ→6ポジと実に上がりやすくできていて、そんなに怖くない。あとは右手をちょっと頑張ればそれっぽく弾けるようになる。

     M.51から中間部。変ロ長調で少し弾きにくくなる。M.54のソファミ♭ファソーミ♭ーのミ♭が、どんなにチューナーで音程があっていても、合っていないように聞こえた。

     M.71-81、個人的には一番難しかったところ。レからラへの跳躍や、A線ドレを2→1でポジション移動するレの音程が取りづらい。あとはM.78、79のD線ソ、A線ソのオクターブ移動は音程がばれやすくて嫌。

     最後の和音は、音階で上がりきったファからポジション移動はしないんだけど、音程(音自体?)がひどかった。4弦の和音で開放が入っていないのは、ちゃんと押さえないとそれだけで音程が狂いやすいので気をつける。

     スクワイアは6巻にも1曲タランテラが出てくるけど、これもチェロのために作ったんだなーということが分かるとても弾きやすい曲。学校教師とも書かれているから、学習者向けなんだろう。余裕が出てきたらほかの曲も探してみたい。

  •  バッハ-アリオーソ カンタータ156番より

     チェンバロ協奏曲の2楽章でも使われているので、バッハも気に入ったメロディだったのだろう。前にTwitterで呟いたが、こういうゆっくりした曲は音程がモロにバレるのであまり好きではない。6巻で出てくる白鳥とかもそうだ。よほど練習しないと曲にならない。

     M.2は、ヴィヴァルディのソナタ1楽章でも書いたが、5ポジくらいの和音(ソミドとかラファ#レ)が取りづらい。

     M.4-6は、4-5ポジのD線の拡張でちょうどネックの継ぎ目部分で音程が取りづらい。

     M.10はラの開放から上のドまでの跳躍。7ポジを一発で当てるのは結構難しかった。

     M.14-15は16分の三連、スラーの付き方が不規則なので慣れるまでが大変。ただ弾いていて気持ちいい部分でもある。

     M.16はテーマが戻ってくるが、これをD線で弾く…と音程が地獄。しかもppなのでしっかり押さえつつ、右手は圧力を減らして、だけどいい音で…難しい!

     M.18の最後のファーミファが、なぜか圧力がかかって変な音になりがちだった。

     M.20も終わりだけどG線でのポジション変更が多く地味に取りづらい!最後の最後まで気が抜けない曲だった。

  •  ゴルターマン-ロンド(協奏曲4番 op.65より三楽章)

     ついにコンチェルト。しかもあのゴルターマン!と思いきやゴルターマンの協奏曲は若い番号のほうが難しく、4番、5番あたりはだいぶ簡単になるらしい。まぁこのレベルの学習者にとっては難しいことに変わりはないけれど。

     大まかに5つの部分からなっていて、テーマが戻ってきたりすることはない。1部がM1-95、2部がM.96-115、3部がM.116-159、4部がM.160-199、5部がM.200-247。

     1部(M.1-)は右手の練習にとても良い。出だしのM.13-16はLeggieroで、M.17-20はMarcatoで(書いてあるとおり)、その対比を思いっきり出して。特にMarcatoは、軽く弓先で手首の返しを柔らかく、腕全体を使って…らしいけど手首を返しつつ腕を使う?で頭の中が混乱した。先生の演奏を見てもわからん。特にアップから始まるので、この弓遣いに慣れるのにも苦労した。

     M.62-63の形は何回も間違えたのか、かなり乱暴に弓順の書き込み。何をいらついているんだ自分…。

     2部(M.96-)はいきなり6ポジから始まるが、その前に間奏があるのでバッチリ確かめられる。左指で少し強く叩いて音を確かめると良い。下ってくる3連符は、楽譜を見ている余裕はないので早めに暗譜する。特に下りきる最後の4音はスラーということを忘れずに…ここと次の跳躍は右手も混乱しがち。

     3部(M.116-)はmolto grazioso ed affettuosoで優雅に愛情をもって。歌いどころですな。特に難しいところもなく、6ポジとかも出てくるが順次進行(ドレミファのように隣り合った音に進んでいく)なのでそこまで取りづらくはない。M.144はcon passione、情熱を持って思いっきり歌う。M.158はのドーファ#はrallentandoなので勝手にポルタメント入れてた。

     4部(M.160-)は2部で出てきた3連符が戻ってくる。スタッカートがついている音はなんちゃってスピッカートで弾いていた記憶。ポジション移動もないのでかなり調子に乗れる。M.176からは3弦にまたがるアルペジオ!ポジションさえ取れれば難しくはないので、最初はゆっくりから確実に。。M.182はハーフポジションということが分からずCGD線で取っていたが、弾きづらすぎたので再度見直したら気づいた。

     5部(M.200-)はコーダ。付属CDだと、ただでさえ速いのがここから更に加速してもはや演奏不可能と思うくらい。M.176からと同じような3弦のアルペジオだけど、こちらの方が取りやすい。M.215はダウンが長いのであまり弓を使わないようにしないと、3回繰り返すうちにどんどん弓先に行ってしまうので注意。M.231からCDだと更に加速。brillianteとしか書いてないのに!M.237-240は速い中でのポジション移動が難しい。一瞬で過ぎ去るけど音程が取れていて欲しい部分。取れないけど。

     当時の演奏はコレ:

     

 

スズキ6巻

 ついにあの白鳥。ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲があり、スクワイアのタランテラ。4巻で好きだったソナタを書いたブレヴァールの協奏曲、そしてヴィヴァルディの2台のチェロのための協奏曲。

  •  サン・サーンス-白鳥 (動物の謝肉祭より)

     チェロといえばコレ、の白鳥。個人的には、子供の頃に母が聴いていた英会話CDのBGMで延々と流れていて辟易していたので、あまり好きではない。が、れっきとした名曲!動物の謝肉祭では、ピアニストと化石でサン・サーンスの皮肉たっぷりジョークを楽しんだ後、終曲の前の束の間の休息といったところ。

     5巻のアリオーソでも書いたが、こういうゆっくりな曲は音程がとにかく目立つ。そして大雑把な性格の私はだいたいこんなもんか、で取るから、微妙にずれていることが多い。すると、人型ロボットの不気味の谷じゃないが、合っていないんだけど凄い外れているわけでもないので、思いっきり外しているよりも聞くに堪えない演奏になったりする。弦楽器に向いていない性格のような気もするが、とりあえず弾くのが楽しいうちは頑張ろう。

     M.2の弾き始めでポジション移動が3回。ポルタメントは入れすぎないように注意。

     M.4-5のファ#→シを3の指で飛ぶところは確実に当てる。これが当たらないとその後も全部だめになる気がする。

     M.8-9はロ短調旋律的音階だけど、弾きづらい。。レは8ポジ!?次のM.12でまた上のドを当てるのも難しい。親指ポジションでD線使えば簡単そうだが、ここではまだ習得していないので、教本通りで。

     M.24から最後までずっとD線。ハイポジになるほど押さえづらくなるのでそこは気合でちゃんと押さえる。時間はたっぷりあるから、少なくとも最後のソは確実に取れるように頑張りたい。

  •  ヴィヴァルディ-協奏曲ニ長調 op.3-9 RV.230

     もともとヴァイオリンの協奏曲を1オクターブ下にチェロ編曲されたもの。付属CDを最初に聴いた時は、ずっと16分音符で弾いていて無窮動的な、それにしてはつまらなそうな曲だなーと思ったが、弾いてみるとその考えは全く逆だった。結論から言えば、5、6、7ポジションの非常に良い音程練習になるため、今でも指ならしのために暗譜で弾いているくらいだ。もともとそういう目的で作られた曲ではないかと勘ぐるぐらいに、ずっとそのあたりのポジションを弾いているのだ。そしてほぼ16分音符で動いているので、ポジション移動も速く正確に行う必要がある。

     最初はバロック時代の組曲の序曲風に堂々とTutti(合奏)。M.9からはSoloが始まり動きを出して、ここからほぼ絶えず16分音符のパッセージが続く。M.16からTutti、M.20からSolo、M.25のアウフタクトからTutti、M.27のアウフタクトからSolo、M.33でTutti、M.38からSolo、M.40でTutti、M.42からSolo、M.48のアウフタクトからTuttiで最後まで。協奏曲といいながら合奏協奏曲の形式に近いように思う。

     M.2、3の一発目の音はポジション移動をしつつの3ポジ、1ポジの1の音。これが重要な音だが地味に取りづらい。M.4-5は3→4→5→6→5→4とポジションが移動するが、私の場合高いポジションに行くにつれて左手が傾くので、その傾き加減を調整しないと全然いい音で取れない。これに気づくのに結構かかった。

     M.11-13は同じような音形で下がる。ここには強弱記号はmfとしか書いていないが、ずっと同じ感じでいくとつまらないので何か変化をつけるようにと教えられた。M.20のド#レド#シラ↑ラシラとラの開放でオクターブ飛ぶ部分、開放があるから簡単かと思いきや案外時間がなく、左手の形もかなり斜めの状態にする必要がある。M.26のトリルは34で取るので単純に苦手。

     M.27-28でレから上のシに飛ぶのも先程同様。M.28にはまた34のトリル。

     M.40はM.4-5と同じで音程が取りにくい。M.42-44はエコー(同じ音形の繰り返し)が多いので、同じように弾いてつまらなくならないように。

     M.48からはコーダ、冒頭のM.6からと同じで華々しく終わる。

     当時の演奏はコレ:

      

  •  スクワイア-タランテラ op.23

     5巻のダンス・ラスティック以来のスクワイアの曲。この前のページに親指ポジションの練習があり、この曲は親指ポジションの導入といったところだろうか。

     ダンス・ラスティック同様、弾きやすく書かれており、親指ポジションも2箇所しか出てこない。しかしそれにしてはタランテラでテンポもAllegro con spiritoと速めなので、親指ポジションというよりはお楽しみ曲といった風合いが強い気がする。親指ポジション導入については次のブレヴァールの協奏曲の方がそれっぽい。

     タランテラ、6/8で短調、急速な舞曲。毒蜘蛛のタランチュラに噛まれた毒を抜くための踊りとか?踊ったらその分速く毒が回らないんだろうか?なんて思ってしまうが詳細は分からず。まったく違う説では街の名前が語源とも。3部形式(A-B-A-Coda)で、AはM.1から、BはM.73、後半のAはM.150、CodaはM.213から。Aは全く同じなので実質2ページの曲。

     性格的に速い短調の曲は好きなのだが、この曲も例に漏れず好き。そして弾きやすい。

     M.23-24のシドレミファ#ソ#ラとあがるのも、思ったよりは難しくない。最後のラもフラジオで取って良い。

     M.32からは、ダンス・ラスティックでもあった開放弦との重音。ffなので十分に鳴らす!M.40からはスラーが少し変則的だが、慣れれば大丈夫。

     M.63で初めて親指ポジションが出てくるが、すぐに終わってしまう。しかもこの急速な曲で、音階でのポジション移動して親指ポジションなので、結構難しい。次のブレヴァールの協奏曲ではちゃんと位置を確認してから親指ポジションが始められる。

     M.73から中間部、ニ長調。十分に歌えるメロディーで気持ちいい。M.93からスタッカートはなんちゃってスピッカートで。

     M.105から平行調ロ短調。M.107でラ#をD線からA線で取り直すのが難しい。でもD線のまま行ってもあまりA線に行くいいところはないので、ここで頑張るしかない。M.121でニ長調に戻る。

     M.138-M.149は主題(M.150)に戻るブリッジだが、ここがなんとも言えず好きなところ。M.140のラのフラジオはおしゃれに取りたい。

     M.150からはM.1からの繰り返し。

     M.221から急にプレストで更に速くなり、CDのテンポには一切追いつけなくなる。ダウンが8分音符1つでアップが残りの5つで、弓の使う量のバランスが難しい上に、地味なポジション移動の連続で頭真っ白になる。ここが弾けるとカッコイイんだけどなぁ…。

    当時の演奏はコレ:

      

  •  ブレヴァール-コンチェルト第2番 ニ長調

     改めて親指ポジションの導入。コンチェルトも3曲目ともなると嬉しさよりもどんな難題が待っているんだ、と思いきや、この曲は案外弾きやすい。と思うのは親指ポジションを他の教本(他の記事で書いた、Rick MooneyのThumb Position)で練習済みだったからだろうか。ゴルターマンのような右手の難しさもそこまでなく、ヴィヴァルディのような左手のいじめのような5,6,7ポジションもない。親指ポジションを楽しみながら身につけられる曲だと思う。

     ロンド形式、Allegretto。と言いながら付属CDではAllegroぐらいの速さに感じるけど。曲の構成はA-B-A-C-Aで、AはM.1、BはM.23、2回目のAはM.66、CはM.88、3回目のAはM.140。Aは全部と、Bの一部分に親指ポジションが出てくる。

     M.1から親指ポジション。十分に場所を確認してから、基本のポジション(A線のA、D線のD)に置く。最初はpでLeggieroだが、指示通り軽く弾いたら小さすぎるとの指摘。pといっても協奏曲なのだから、ホールの後ろにまで届くようなpで弾けとのこと。難しいよう。

     親指ポジション練習していたから簡単だ!と思いきや、M.16のソラで毎回つまづく。ソはD線の3、ラはA線の0(親指)で、移弦付きスラー。これが難しく、ついに最後までできなかった。今は基本ポジション以外も習ったので、23を少し伸ばして、2(ソ)3(ラ)で取ることで解決。

     M.23からB。あまり難しいところはない…と言いたいところだが、M.47-48のイ長調音階。レミファ#ソ#を1313で上がり、ミレド#シを3131で下がるのも速いテンポだと音程が取りにくい。M.51からまったく同じことを、今度はpで親指ポジションで弾き、弾きやすいなぁと親指ポジションの良さを実感させられる。(ポジション移動なしでできるため)

     M.88からC。同主調ニ短調、ここは難しいところもほぼなく、歌いどころ。M.118-119が短い弓の返しでやりづらかった。手首を柔らかくして16分音符もちゃんと弾ききってから返さないと、慌てた感じになってしまうので注意。

     個人的に好きなのはAに戻る前、Bの最後やCの最後でゆっくり親指ポジションに持っていってくれること。スクワイアのタランテラはいきなりの親指ポジションだったけど、この曲では準備があるので自信をもって親指ポジションを始められる。

     あとはAを繰り返して終わり。

  •  ヴィヴァルディ-2つのチェロのためのコンチェルト
      ト短調 RV531 1楽章

     いよいよ6巻も最後。協奏曲祭りも終わり、これ以降9巻(インターナショナル版、1冊ハイドンハ長調協奏曲)まで協奏曲は出てこない。が、この協奏曲はあまり好きではなかった。なんというか地味で、おそらく実際に2台のチェロで弾いたら掛け合いが面白かったりするんだろうけど、1台でずっと練習するのはイマイチだった。音階とか分散和音ばかりなのも大きいかも。レッスン時に先生と合わせるのは確かに楽しかった。

     形式は一応ソナタ形式?になるんだろうか。提示部はM1からTutti、M.17からSolo、M.19からTutti。M.27の3拍目から展開部でSolo、平行調変ロ長調へ。M.39の3拍目からTutti、M.46からSolo、M.61からTutti、M.69からSolo、M.76の3拍目裏からTutti、再現部。M.80からSolo、M.93からTuttiで終わりまで。

     せっかくCello 1もCello 2も楽譜があるので両方見る。

    --------Cello 1

     冒頭から1→1のポジション移動が3回、取りづらい。M.6からの分散和音は2台チェロで弾くととても気持ちが良い。

     M.9は1弦跨いだ10度の跳躍。ブレヴァールのソナタを思い出す。

     M.12とM.14のトリルはどちらも34なので嫌。M.16は拡張トリルなのでこれもちょっと…。(トリルは12か13でお願いしたい)

     M.33から、もっと弓を使えと言われた。pだからと遠慮する必要はないらしい。例によってホールの一番うしろまで聴こえるpで。

     M.51から、それまで上がっていたのが下りになり、ポジション移動が難しい。そしてその後M.55-57のハ短調のパッセージ、冷静にやればそこまで取りづらくないはずなんだけど、譜面が難しそうなので慌てるのか、うまく弾けなかった。弓順もこんがらがりやすい。

     M.65からの音形はM.19の反行型、4小節続いてどこまで行くの!?となったところでM.69からのSolo。M.74-75が変ホ長調の音階だが、ポジション移動のタイミングが中途半端なところ(4つずつとかではない箇所)なので覚えづらい。

     M.84のオクターブは難しい。1回1回ソソファソを下がって上がってとやっていると音程が。。

    --------Cello 2

     Cello 2の方が少しだけ易しめかも。音域的にも少し低かったり、繰り返し回数も少し少なかったり。

     冒頭、Cello 1より1小節遅れで入り、3度下を弾くことになる。M.9-10はCello 1でも難しかった箇所。3度低いからといってここの難易度は変わらず。

     M.58の3拍目裏から、Cello 1を引き継いで同じパッセージ。Cello 1で慣れていれば同じことをやるだけ。

     M.71の3拍目からは指使いが慣れるまで少し大変かも。M.74-75の変ホ長調音階はCello 1と同じでポジション移動のタイミングに慣れが必要。

     M.85からのオクターブはCello 1と難易度変わらず、少しだけど毎回のポジション移動が嫌。

    --------

     この協奏曲に対する思い入れのなさが字数に表れている!やっぱり思い入れのある曲はあれこれ書きたくなるんだなぁ。

     いずれどこかで2台チェロで弾いたら印象も変わるんだろうか。

 というわけで、5-6巻を見てきた。当初は5-8巻まで同じ記事にする予定だったが、この時点で1万字を超えてしまい読みづらさもMaxなので、ここでまた一旦区切ることにする。

 感想というより練習メモだし、誰が読むんだとも思うが、一応記録として。

スズキ-チェロ教本感想:2-4巻

 先日のレッスンでスズキメソッドのチェロ教本8巻が一通り終わったので、区切りとして一言感想振り返り。

 なお、私の先生はとても進むのが速く、曲が未完成だとしてもどんどん先に進んでいく。長くて1ヶ月、通常2週間で次の曲に行くため、ほぼ譜読みレベルで終わっている。一通りすべて弾かせてから時間をかけて曲の完成度を増していく方針らしい。次から8巻を再度復習しつつ9巻(ハイドンのチェロ協奏曲)をゆっくり学習していく。

 2巻は2年前とかなので記憶が怪しいが、こんな感じだったというのを思い出しつつ書く。

 

スズキ1巻 - スキップ

 1冊が3000円以上するため、独断でスキップ(ウェルナーをちょっとだけやっていたのもある)。8巻終了を機にInternational版(Amazonで1200円くらい)を注文中。

 

スズキ2巻 - 独学

 初めてのポジション移動、第2ポジションが出てくる。全曲スズキのヴァイオリン教本と同じ曲(順番や巻数は違う)。

  •  ベイリー-ロングロングアゴ
     弓の使い方の練習曲、特にVariationのスラースタッカートで右手をツ、ツと動かす感じを体得するのが難しかった。
  •  モーツァルト-五月の歌
     1stポジションのみの最後の曲。スラーテヌートの学習か?音が抜けないでちゃんと弾くようにと指示されている感じ。
  •  バッハ-メヌエット第1番
     昔アンナ・マグダレーナの練習帳でピアノで弾いた記憶。原曲はト長調。初めての2ndポジション。上のミが取りづらかった。
  •  バッハ-メヌエット第3番
     ベツォールトの作品と言われている。ヴァイオリン版はバッハ(?)となっているが、チェロ版はまだらしい。シーレファ#ソーのファ#を1で取るところに音程と書かれている。
     繰り返し後のミードレミドのところが2ndポジションでしかも拡張で、音程が非常に取りづらかった。有名なだけに気合を入れて練習した気がする。
  •  ヘンデル-ユダスマカベウスから合唱
     先生曰く、スズキメソッド創設者の鈴木さんが、これを毎日練習させていたとか。確かに音程や弓の使い方をじっくりやるのに良さそうな曲ではある。今でもたまに丁寧に練習する。
     ソードーを同じ4の指で移弦する、4の指のスライドタイミングが難しい。4段目のラソ#ラシラーシーも音程が。
  •  ウェーバー-狩人の合唱
     初めての16分音符。生意気にも4段目のラーシラソラシーで開放を使わずに出てきていない3rdを使う自分の指示。確かに16分音符で開放の移弦は今でもかなり難しそう。
     7、8段目のレドラッレドラッは馬の駆け足をイメージして。弓の返しが間に合わず変な感じになってたことを覚えている。
  •  バッハ-ミュゼット
     メヌエットと同じく、アンナ・マグダレーナの練習帳でピアノで弾いた。元はイギリス組曲BWV808から。ピアノでは弾きやすかったのにチェロだと…。
     4段目の2ndポジションの拡張は今でも音を外しそう。5段目の8分音符連続部分とかは訳が分からなくなった。弓順もややこしいし。最後のシファ#ソレレファ#ソレの移弦つきスラーは滑らかに弾くのが難しい。
  •  バッハ-マーチ
     あまり印象がない…。マーチ。「堂々と」と勝手に書いてある。4段目1小節目、ソーファ#ミラーソーでミからラを4で取るのが難しかった。
  •  パガニーニ-妖精の踊り
     3連アルペジオの右手が課題。7段目の急な転調が怖い。音程がどこか行く。最後から2段目の最後の小節のドレミ(A線の2ndポジションの拡張)はよく出てくるけど未だに取りづらい。
  •  滝廉太郎-荒城の月
     唯一の日本人作曲家。これには番号が振っておらず、トナリゼイション(トーン+ボーカリゼーション、鈴木先生の造語)となっている。1stポジションのみだが、拡張と、音の強弱、あとはフレージングの練習か。
  •  シューマン-二人の擲弾兵
     個人的にあまり好きになれない曲。家族は好きらしい。前半はテノール?っぽく弾くのが難しい。ト長調に転調してからのフランス国家はアゲアゲな感じで好き。
  •  ゴセック-ガボット
     スピッカートがかなり難しい。今でも綺麗にはできない。装飾音もいい感じに鳴らすのは難しい。後半の16分音符、ミソファ#ソラソファミレ、一弓で弾きたいところ。7段目の16分音符スラーは、ヴァイオリンだと一弓スラースタッカート(サルタンド?)だった気がするけど、チェロにはそこまで求められていない。機敏性では確実に劣るものなぁ。
  •  ヘンデル-ブーレ
     大好きな曲。ト長調からハ長調に移調されている。2ndポジションの総まとめ。相変わらず5段目3小節目、2ndポジション拡張の音程がひどい。最後のドレミドレミファレ…と上がっていくところが大好き。2巻の終わりにふさわしい。

 2巻はCDのテンポもそこまで鬼ではないので、たまに合わせて弾いていた気がする。でもゴセックのガボットの16分音符とか、この巻をやっていた時には弾けていなかっただろうな…今なら弾けるだろうか。

 しかしこの巻の曲は、繰り返し記号ではなくそのままもう一度楽譜が書いてあるのはなぜなんだろう。繰り返しの時は強弱記号が違うのかと思いきや全部同じだし…段数広くとって繰り返し記号の方が良いと思うが。

 

スズキ3巻 - 独学、先生

 この巻から小節数が明記されるようになっている。M.は小節数、M.27は27小節目。
 一度独学で全部弾いてみたが、後で4巻から始めたいと持っていったら3巻からにしなさいと言われて、ユーモレスクからは先生にも見てもらった。
 学習の要点として「第2ポジションを含め第3、第4ポジションを正確なポジション移動と正確な音程で弾けるようにする」「フレーズの表現の指導を行うことを目指し、フレーズの終わりに注意を払うようにする」との記載がある。

  •  シューベルト-子守唄
     ハーモニクスの練習。M.13からの下の指(4ポジ)が難しい。この頃はまだ慣れずに変な音になっていた。前のページのハーモニクスは最後におまけのような感じでついているだけだが…。
  •  滝廉太郎-荒城の月
     2巻で出てきたものを3ポジで弾く練習。正直開放弦を使わないこちらの方がだいぶ弾きやすい。
  •  リュリ-ガボット
     2/2の舞曲感を出すのが難しい。M.10のドの開放や、M.11の16分音符で移弦付き開放が弾きづらい。中間部(M.21-34)がかっこいいが、M.23の増2度(ド#ーシ♭)がいやらしい。
  •  ボッケリーニ-メヌエット
     ヴァイオリン版であった装飾音符がすべてカットされている。正直この時点では確かに難しい。M.5のソ#の音程が取りにくい。同じことがM.18のド#とか。開放の次に拡張の4の指が当てにくい。トリオは楽しい。音階。ハーモニクス
  •  ウェブスター-スケルツォ
     初めてチェロオリジナルの曲か?ヴァイオリンでこれにあたるのは4巻に出てくるボームの無窮動だと思う。4ポジと、同音デタシェの練習。16分音符の連続に右手が挫けそうになる。どこか変な力が入ってしまう…。8分音符単位でしか音が動かないので左手はそこまででもない。しかもスケルツォ部分は4ポジしか出てこないので予想以上に弾きやすい。
     M.33からの中間部は、美しいメロディだが単純ゆえに音程が目立つ。M.48で勝手にritをかけていた。最後のハーモニクスも面白い。
  •  ベートーヴェン-ト長調メヌエット
     聴くのはいいけど弾くのはあまり好きになれない曲。ヴァイオリンでも散々苦労した、半音と頻繁なポジション移動。更にトリオでの不均等なスラースタッカート。どうしてもダウンが大きくなり、軽やかなメヌエットの感じが全く出ずに苦労した。
     M.9では初めての5ポジ。その後に4ポジで16分音符で4ポジから1ポジへの移動。隣のページに練習方法が書いてあるが、「そのうち速く弾けるように練習する」って結局どのように練習すれば良いかが独学だとイマイチ分からずだった。とにかく繰り返し練習した。
  •  バッハ-ハ短調ガボット
     ピアノで弾いたことがあった。ハ短調の練習。♭3つで主音がド、なのでチェロには相性が良さそう…と思いきや、同主調変ホ長調含めやっぱり弾きにくい。フォーレのエレジーでも思ったけど。M.10-11やM.18-19の8分音符2つがスラーでつながっている音形は好き。
  •  バッハ-メヌエット第3番
     M.49からの中間部がハ短調ということで再度登場。前のガボットでは上のレより高い音はなかったが、中間部ではいきなりミ♭から開始。M.75が難しい。落ち着いて1スラーずつ弾いていくしかない。

  •  ドヴォルザーク-ユーモレスク
     冒頭Leggieroの指示もあるため、少し軽やかな感じで弾いたところ、チェロのユーモレスクは少し感じを変えてもう少し落ち着いて…と言われた。弓使いが難しい。冒頭は弓先で、弓は弦から離さずに、でも音は止めずに。隣のページに練習方法が書いてあった。
     M.23は音が飛んでいるが、ポジション移動は不要。M.33-40、ついに最後で7ポジが出てくる。この頃は気合で飛んでいたが、これも隣に練習方法が書いてある。
  •  マリー-金婚式
     聞き覚えのあるテンポで弾いたら、先生曰く速すぎる…と。金婚式の当人達は少なくとも70歳近く(結婚50周年)なのだから、速すぎずに落ち着いて。なるほど確かに。
     M.4-5のファーラッのフラジオが楽しい。クレッシェンドも忘れずに。
     M.17の後半2音はテヌート、ちゃんと音を切って。
     M.19はスラーだけどちゃんとテヌート感を出して少し切って。M.23も同じ。
     M.49の後半2音はスタッカートではなくテヌートなので注意。
     M.50、62、74のアルペジオが非常に難しい。弓順もアップから、ポジション移動あり、次の音も多少離れている、でテンポ通り弾けなかった。
     M.66-68の8分音符連続は、とにかく慌てずに。弓順がこんがらがる。

  •  バッハ-アレグロモデラー
     大好きな曲。3巻のラスボス。確実にテンポでは弾けない。こういう曲が素敵だと思っても、探すのが面倒なので出典を明記してほしい。ガンバソナタ1番ト長調BWV1027。
     CD聴いても、曲の入りからしてどこから入るのか分かりづらい。
     M.29-33、最難関。不均等スラーなのでダウンが大きくなる、開放弦ありの移弦付きスラー、下の指番号を選べば半小節ごとにポジション移動あり(しかも拡張)。
     M.50-52は弓順が混乱しがち。そしてM.56-最後まで、8分音符連続の速いポジション移動、最後に5ポジで終わる。3巻のラストを華々しく飾るのにふさわしい。

 

スズキ4巻 - 独学+先生

 ようやくチェロオリジナルの曲ばかりになる。

  •  ブレヴァール-ソナタop.40-1 1楽章
     これこれ、こういうのが弾きたかったんだよ!とめちゃくちゃはまった曲。ソナタ好きの私にたまらない。3巻までは舞曲や小曲だったので、この曲の満足度はかなり高い。5ポジまでしか出てこず、そこまで難しい技術はない。装飾音符が入れづらかったかも。
     M.26-28の3連パッセージもポジション移動はなし。
     M.29-30の1弦跨いでの跳躍は難しかったかも。手首を使って軽く、と書いてある。P.12に練習方法の記載あり。
     M.56-57のダウンアップで少し不均等なスラー、装飾音符、スラースタッカート。
     M.89-92は拍頭がアップでちょっと戸惑った気がする。慣れてくると弾きやすさに気づく。
     M.102のトリルは拡張124でやりづらかった。

  •  ブレヴァール-ソナタop.40-1 2楽章
     これも弾きやすい…と思いきやこちらは難しかった。まず6/8感が出ない。冒頭からいきなり装飾音符が入れづらい。軽やかに弾けない。
     M.16からやや弾きやすくなったかと思いきや、M.27-28, 33-34の16分音符。軽く弾きたいけどどうしても速く動かせずにドタバタした音になる。そもそも弾けない。
     M.43、50の半音も音が取りづらい。
     M.66-77のイ短調、地味にポジションが飛ぶので音が取りづらかった記憶。
     続くM.78-のヘ長調は再度16分音符。どんなにさらってもできるようにならなかった。
     M.87-89、M.95-97。単純に弾くだけでも難しいのにスラーがつくことで更に難易度が上がる。

  •  マルチェロ-ソナタop.1-2 1楽章
     地味に音程が取りづらくて嫌だった。この頃から開放弦の音が気になり、なるべく隣の弦で押さえて弾くようにするも、音程が。。YouTubeで検索するとコントラバスでの演奏動画もよく出てくる。
     M.11のシソラファ#とか、M.13のソミファ#レ#での指を縮めるポジション移動が難しい。最後はM.14のミで終わればよいのに、後の2小節って蛇足なのでは…なんて思って弾いている。

  •  マルチェロ-ソナタop.1-2 2楽章
     因縁の曲。この曲で私は独学を断念した。インテンポでいい感じに弾きたいのだが、どうしても汚いギコギコした音やかすれた音が出てしまい、しばらく練習しても改善が見られなかったため、独学を諦め先生につくことにしたのだ。
     まずM.4のミレドシ、M.5、6のソファミレ。16分音符でポジション移動、こんなに速くできない。
     M.6のミレドミレドシレ…となる部分は速いしポジション移動あるしで右手が追いつかない。
     M.7-8のラレラレのスラーのリズムが変になる。
     そして鬼のM.18-最後まで。16分音符連続、ポジション移動、移弦付きスラーと本当に訳が分からなくなった。いくら練習しても、音がかすれていい音にならない(もちろん今までもいい音だったわけではないが、自分で満足できるくらいではあった)。完璧に暗譜して、弓も全部頭に入っているけど、頭と体が追いつかない。4の指が隣の弦に当たっていたり、左手がちゃんと押さえられていなかったり、右手の移弦の準備が遅かったり…。
     この時期にTwitterを始めた気がする。確か2020年8月くらい?自分で動画を撮り、YouTubeで教えてくれる先生の動画も参考にしながら頑張ったものの、結局インテンポで弾けず、後から戻ってくることを心に誓いながら次の曲へ。
     練習当時の演奏はコレ:

     

  •  バッハ-無伴奏チェロ組曲第一番よりメヌエット
     これはマルチェロと比べると、テクニックというよりは表現力の練習。強弱記号が一切ないので自分で考える。(和音的な)緊張/弛緩、速く/遅くを正確に読み取って「音楽」を作れと指導された。
     冒頭のラーシドをアップでいい感じに弾くのが難しい。音の個数的にはダウンと同じだけど速さが違う。
     音程で難しいのは第2メヌエットト短調で拡張がよく出てくるので音程が狂いやすい。もっと弓を使うようにとも言われた。

  •  チャイコフスキー-シャンソントリステop.40-2
     ピアノのための中級程度の12の小品より。初の全部ハ音記号。今ではそれなりに読めるようになったが、当時は苦労して読んだなぁ…。
     曲想とは裏腹にAllegro non troppoとかなり速いテンポ指定。そしてこれは曲頭に番号がついておらず、「トナリゼイション」となっている。
     M.21からの変ロ長調部分が音程取りづらい。
     M.29の一番盛り上がるところ、メロディが6小節単位になっている。M.61からの実音とハーモニクスの使い分けは楽しい。最後のpppなんて久しぶりに見た気がするが、チャイコフスキーなら納得。

 

 思ったより長くなってしまったのでここで一旦区切る。しかし読みづらい。。

ラヴェルと私

 3/7はラヴェルの誕生日ということで、大好きな作曲家のラヴェルについてとりとめもなく書く。

 

・出会い

 ラヴェルと出会ったのは、小学4-5年生頃。ソルフェージュの先生が、マ・メール・ロワを私と弟で弾かせた時だ。当時、ソナチネアルバムやツェルニー、バッハのインベンションなどガチガチの古典音楽しかやっていなかった私に、どれほど綺麗で美しく聴こえたことか!

 マ・メール・ロワラヴェルが友人の子供たちに書いた曲で、オクターブも出てこない比較的簡単な技術だけで演奏できる。私と弟もそれなりに演奏でき、ラヴェルの響きに夢中になるには十分だった。シンプルな音符の中にも息づくラヴェルらしさ、そして終曲、妖精の園の感動。マ・メール・ロワは私にとってラヴェルとの出会いの曲であり、もっとも思い入れが強い曲となった。最後のグリッサンドを夢中になって練習したのを覚えている。痛くてあまりできなかったけど。

 

・夢中になる

 中学生から高校生くらいにかけて、色々な作曲家の曲を聴いたり弾いたりするようになるも、ラヴェルが1番好きだった。近いところでドビュッシーも好きだったけど、ドビュッシーはロマンチックすぎて私にはハマらなかった。(弟はドビュッシーの方が好きだった)

 ラヴェルで好きな点は、まずハーモニー。詳しいことは勉強不足で書けないが、9度や11度の不協和音が多く、その独特な響きがラヴェルラヴェルたらしめている。かといってそれより後の現代音楽のように無調ではなく、調性音楽の中で使用しているのが好きだ。調性音楽が崩壊するかしないかくらいの線だと思うのは、チェロとヴァイオリンのためのソナタ

 古い形式に敬意を払っているのも好きな点だ。クープランの墓は、昔の組曲に従って書かれた舞曲集。ソナチネ、"古風な"メヌエット、後期で感傷的なワルツなど、昔の音楽をラヴェルなりに作り直したもの。メヌエットは特にラヴェルのお気に入りだったらく、他にもハイドンの名によるメヌエットクープランの墓などで作曲している。ある程度ルールに沿った上で、ラヴェルなりに逸脱している感じが好きなんだろうか。

 よく聴いていた(CDを持っていた)演奏は、アース、フランソワ、ミケランジェリ、ロジェ、そしてアルゲリッチ。親の影響でアルゲリッチラヴェルをよく聴いていた。彼女のデビュー版の水の戯れは衝撃的だった。夜のガスパールマ・メール・ロワ(打楽器を加えた)、ピアノ協奏曲、ソナチネ。今もよく聴く演奏だ。アルゲリッチが弾いていない、クープランの墓やピアノ三重奏はロジェがお気に入り。

 

 

ピアノ曲

 とにかくラヴェルの曲は譜読みが難しい曲が多い。基本の3和音は殆どなく、臨時記号が多い9度、11度の和音が基本となっている印象。もちろん技術的難易度も高い曲が多い。グリッサンドや同音連打、細かい動き…そして表現。

 それでもなんとか弾ける曲を…と探して弾いた。特に難しかったのはクープランの墓のトッカータピアノ三重奏の4楽章。どちらも発表会で弾いたが、残念ながらテンポは指示よりも大分遅かった。

 ピアノ三重奏の4楽章は、ラヴェルが死を覚悟して兵役に赴く前の遺書となることを覚悟しての作品の最後ということだけあって、渾身の思いを感じる。その最終楽章ともあれば、グリッサンドあり、凄まじい和音の連続あり、バイオリンとチェロもトリルにハーモニクスにとにかく弾きづらそうな、全員が「全力で弾かなければならない」曲。弾いた当時は大学生だったのでイマイチ理解できていなかったように思うが、叶うならばもう一度全楽章弾いてみたい。

 多くの作曲家がそうだったと思うが、ピアノはラヴェルにとっても特別な楽器だったように思う。主に管弦楽化する前のスケッチとして作曲していたようだが、一方であまりにもピアニスティックな夜のガスパール、水の戯れやクープランの墓のトッカータとフーガはあえて管弦楽化していない。協奏曲を書いたのもピアノだけだ。そのためかは分からないが、ラヴェルを好きな人はピアノ弾きが多い気がする。

 

・オーケストラ曲

 オーケストラの演奏側となると、ラヴェルは途端にとっつきにくくなる。特に私はコントラバスだったので、本当にオーケストラが厚い箇所じゃないと出てこない。

 よく言われるのは「管弦楽の魔術師」だろう。ボレロ展覧会の絵、ダフニスとクロエなどのオーケストレーションの素晴らしさに向けて送られる賛辞だ。聴く側にとっては喜ばしいことだと思うが、演奏する側にとっては特殊奏法が多く、響きも不協和音が多いため音が合っているか分からないことも。特に木管楽器には超絶技巧を要求することが多いため(ピアノ協奏曲ト長調3楽章のファゴットソロ、クープランの墓のオーボエなど)、選曲中に却下されることが多い。

 どうしてもマ・メール・ロワのバレエ版をやりたかった私は、フランスプログラムに乗じてこれをゴリ押しして通し、自分はチェレスタを弾いた。前述のとおり弦はハーモニクスやコルレーニョなどの特殊奏法、目立たないけど難しいソロなど。管もおいしいソロはあるものの、吹きやすいというか吹いてて楽しい曲ではなかったようだ。

 

・弾いた曲と一言感想

ピアノ

 マ・メール・ロワ(連弾):弟と、友達と。初見しやすいのでオーケストラ友達と弾いたり。

 ハイドンの名によるメヌエット:比較的容易で短い。低音Hが響くところが音楽的によく分からなかった。

 ソナチネ 1,2楽章:アルゲリッチの演奏に憧れて。3楽章は難しくて譜読みの途中で諦めた。2楽章にホッとする。

 水の戯れ:高校生の時に自ら希望して。特に中間部の臨時記号だらけのところが難しすぎた。もう一度さらい直したい。

 鏡より道化師の朝の歌:高校生の時に先生から頂いて。同音連打とグリッサンドが難しかった。ラヴェルの中でも詩的な曲だったので弾くのがやっとだった。

 クープランの墓よりプレリュード、トッカータ:プレリュードは何となく。トッカータは先生に見てもらって発表会で弾いたが、だいぶ遅いテンポ。とにかく難しかった。

 亡き王女のためのパヴァーヌ:フルートやヴァイオリンと合わせたりピアノ独奏で。

  ピアノ三重奏4楽章:発表会で弾いた。とにかく難しいが、最高に盛り上がる。

 バイオリンソナタ1楽章:オーケストラの友達と。ピアノとヴァイオリンが相容れないものとして書かれたらしい。結構同意。不協和音いっぱいだけど5度進行が好き。

 フォーレの名による子守唄:オーケストラの友達と。これは同じ形式で書かれたフォーレの子守唄の方が好きかな。

 ツィガーヌ:オーケストラの先輩と。ピアノパートも難しかった。

 

ピアノ以外

 マ・メール・ロワ(バレエ版) - チェレスタ:ソロがあって楽しい。妖精の園のヴァイオリン、ヴィオラソロとの箇所は弾いてて鳥肌が立つほど嬉しかった。

 ボレロ - コントラバス:数え間違いに注意。曲を覚えていれば大丈夫。

 展覧会の絵 - コントラバスラヴェルの作品とするには無理があるか…?バーバ・ヤガーが楽しかった記憶。サミュエル・ゴールデンベルグコントラバスのオケスタで難しい。ビドロはディビジで最後に目立った。カタコンベ金管コラールの中の唯一の弦。

 ドン・キホーテ(歌曲) - コントラバス:マイナーな短い歌曲だけど、相変わらず特殊奏法があった記憶。

 

・弾きたい曲

 ピアノ:ピアノ三重奏クープランの墓、ソナチネ

 チェロ:弦楽四重奏、チェロとバイオリンのためのソナタ

 超絶技巧と言われている夜のガスパールは、私にはおそらく難しすぎるしあまり意欲がわかない。もっとも上にあげた曲もかなり難しいので、人生のどこかで弾きたいとしておく。

 チェロは、相手がいなければ始まらない。まずは弦楽四重のメンバーになることを目標にしつつ適度に頑張っていこう。

オケ奏者が譜面を見ない理由

 前に「オケ奏者が譜面を見ないのってなんで」というツイートがTLに流れてきたので、折角なのでちゃんと考えてみる。

 オケでも、指揮者(一部)やソリストは暗譜で演奏することが多い。つまり音の方向性をハッキリと示す人は暗譜している。

 一方、その他のオケの演奏者は譜面を見ながら弾くことが多い。

 

 ざっと理由を考えると…

・一音でも違う音が出ると台無しになる

・エキストラが常態化する(アマオケに限る)

 →エキストラは短い時間で参加するお手伝いさんなので、暗譜する時間がない

・暗譜よりもすることが多い

 →首席の確認、指揮者の確認、他パートの確認など

・別の指揮者で演奏する時に譜面の注意書きが必要

・ビジュアルよりも音を聴いて欲しい
 →楽譜を見るのはビジュアル的にどうなの、という議論が元ツイートにあった

 などの理由だろうか。

 

 古典派などの人数が少ないものだったら暗譜でもできるかも(多分やってるところはある)。チャイコフスキーブラームスなどのロマン派、マーラーブルックナーと巨大編成でしかも長い交響曲だとほぼ不可能に近い(できても努力とリターンが割に合わなそう)。

 まとめると、やろうと思えばできるかもしれないが、そこまで時間をかけてやる必要性が見出せないから。だと思う。

 逆にこれやればオーケストラの話題作りにはなるかも。全員暗譜なら立って演奏できる。吹奏楽のように演奏中にソロ楽器が前に移動したりとか?

チェロ教本-Rick Mooneyについて

 チェロの先生がアメリカ人ということもあって、アメリカの作曲家、チェロ奏者、教育者であるRick Mooneyという人の本を使っている。詳細はあまりWeb上にないが、おそらくスズキ関連の先生だろう(スズキ教本の伴奏本や、教本にもスズキ関連の曲が出てくる)。この本が、飽きっぽい私にとても合っていたので紹介したい。

 スズキ教本だけで進んでいくと、簡単な解説の割に急に難しいパッセージが出てくることがある。5-7ポジションや、6巻の親指ポジションなどがいい例だ。そういったテクニックをじっくりと解説し、短い曲で習得させてくれるのが教本の狙いだ。なのでスズキの副教本として使用するのが最適。もちろんそれ以外でも効率の良い練習になると思う。

 全部英語で書かれているが、簡単な英語だけ。また、曲のタイトルも調べると面白い。Moon Over the Ruined Trailer Park(荒れたトレーラーパークの月)とか、The Octopiece(8度の練習曲)とか。

 

 全体的な特徴として、

・曲が短い - 2nd cello含め1-2ページ、長くて3ページ (32小節くらい)

・曲に親しみやすい - クラッシックだけでなく、バッハのコラールからロック、ブギー、バラードなど多岐にわたるジャンル。アメリカ、イングランド民謡の引用や本人の自作曲も多数。

・Double Stops以外は全て第二チェロあり

 

 内容を少し見られるのでAmazonのリンクを貼るが、アフェリエイトなどはやっていないので、このサイトから売れても私には一銭も入らない。この本が売れて絶版とかにならないといいな、という思いで書いている。(もっとも世界中で結構売れているっぽいので心配なさそう。YouTubeにいっぱい演奏動画があがっている)

 

  • Position Pieces1, 2
Position Pieces for Cello

Position Pieces for Cello

  • 作者:Mooney, Rick
  • 発売日: 1997/06/01
  • メディア: 楽譜
 

  チェロのポジション別教本。1巻が2-4ポジション、2巻が5-7ポジション。自作曲メイン。

 1ポジ+各ポジションごとに章が分かれ、さらにupper(上への拡張)とlower(下への拡張)ポジションに分かれている。

 各章の最初に白黒写真で押さえ方と、何線の何ポジションをどの指で取ったら何の音が出るか?というクイズがある。私の先生曰くこれが一番大事だという。そして曲に続く。教本の最後には複合で、全ポジション(1巻は1-4ポジまで、2巻は1-7ポジまで)を使用した曲も。

 

  • Double stops
Double Stops for Cello

Double Stops for Cello

  • 作者:Mooney, Rick
  • 発売日: 1995/06/01
  • メディア: ペーパーバック
 

 重音オンリーの教本。アメリカ、イングランド民謡メイン。シーシャンティ(船乗りの歌)なども。

 これは解説などはなく本当に曲だけだが、順を追って難しくなる。具体的には、開放弦のみ、開放+押さえ、両弦押さえ、ポジション移動あり、拡張押さえ、3弦、4弦のアルペジオといった形だ。

 

  • Thumb position 1, 2
Thumb Position for Cello, Book 1

Thumb Position for Cello, Book 1

  • 作者:Mooney, Rick
  • 発売日: 1998/05/01
  • メディア: 楽譜
 

 親指ポジション練習教本。1巻がA線、D線のみの親指移動なし(弦長半分のハーモニクス部分)。2巻がG線を加えてポジション移動あり。指の開きのパターンを1つずつ習得していく。フィドル、カントリー、バッハのコラール、自作曲。

 章の最初にDaily Warmupがあり、その後曲に続く。

 自分で弾いてみたのはこちら。

 

 

  

 よく使用されるドッツァーやウェルナーなどは、古いし長いしあまり好きではないので、この教本に出会えて本当によかった。ウェルナーなどは勉強にはなるんだろうけれどもどうもモチベーションが上がらないので…